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ウォーカブルとは何か?|まちづくりとの関係性

「ウォーカブル」とは何か?──この言葉は近年、国土交通省をはじめとする公共セクターの間で注目されるキーワードとなっています。2020年以降、都市政策やまちづくりの文脈において「ウォーカブルなまちづくり」の推進が掲げられ、多くの自治体が政策検討に取り入れるようになっています。

この記事では、公共空間のあり方を見直すきっかけとなっている「ウォーカブル」の概念やその背景、まちづくりとの関係性について詳しくご紹介していきます。

ウォーカブルの定義:歩きやすさの再評価

「ウォーカブル(walkable)」とは、直訳すると「歩くことができる」という意味ですが、まちづくりの文脈においては、単なる歩行可能性ではなく、「人が快適に、安心して、積極的に歩きたくなる空間設計」を指します。
つまり、歩行者の視点で整備された道路、バリアフリー対応の公共施設、休憩スペースの配置、自然との調和、視認性・安全性の確保などを総合的に考慮した都市空間が「ウォーカブルなまち」です。

この概念は、欧米を中心に早くから取り入れられ、都市の持続可能性や市民の健康増進、経済活性化、観光誘致など、さまざまな分野に好影響を与える要素として評価されてきました。近年では、日本においても国土交通省をはじめとした関係省庁が、都市政策や地方創生の一環として「ウォーカブルな都市づくり」を積極的に推進しています。

なぜ今「ウォーカブル」が注目されているのか

ウォーカブルなまちづくりが注目されるようになった背景には、いくつかの社会的変化があります。
まず第一に、超高齢社会への対応です。日本ではすでに65歳以上の高齢者が人口の約3割を占めており、高齢者が自立して生活できる「歩行可能なまちづくり」が政策的な急務となっています。

次に、都市への人口集中と地方の空洞化の問題があります。
都市部では通勤・通学時間の長期化や混雑のストレスが問題視され、一方で地方ではコンパクトシティ政策や中心市街地の再活性化にウォーカブルな設計が有効とされています。

さらに近年、健康志向の高まりや脱炭素社会へのシフトも、ウォーカブルな都市構造を後押しする要因となっています。歩行の促進は自動車依存からの脱却や、地域交通の見直し、CO₂排出量の削減にもつながるため、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも評価されています。

加えて、2020年以降の新型コロナウイルスの影響により、「屋外空間」の価値が再認識され、人との接触を避けつつも快適に過ごせるオープンスペースの整備が求められるようになりました。
このような時代背景の中で、「ウォーカブル」という考え方は、都市の回復力(レジリエンス)を高める手法としても期待されています。

地方自治体における政策導入事例

全国の地方自治体では、ウォーカブルなまちづくりを通じた都市機能の再構築や、地域活性化の取り組みが広がっています。代表的な事例として、国土交通省が推進する「ウォーカブル推進都市」へ賛同・参画した自治体の動きが挙げられます。

たとえば、静岡県焼津市では、中心市街地の賑わい創出を目指して官民連携による「歩いて楽しめる通りづくり」を進めるとともに、焼津内港地区では民間事業者と連携した空間活用の社会実験を実施しています。
(参考)焼津内港地区にぎわい・交流創出事業
(参考)まちなかウォーカブルストリートデザイン策定プロポーザル

さらに、東京都港区の「新虎通り」(環状2号線)では、社会実験を経て都内初の「ほこみち(歩行者利便増進道路)」指定が行われ、通勤者が行き交うオフィス街の道路を、オープンカフェやマルシェなどで滞在したくなる空間へ転換する取り組みが進められています。
(参考)東京都報道発表(2023年3月)

これらの取り組みは、いずれも「都市の歩きやすさを再設計する」ことを目的としており、単なるインフラ整備ではなく、市民参加型の社会実験や地域との対話を重視する点が特徴です。
特に、「ソトノバTABLE」などで議論されるような、官民連携による柔軟なまちの使い方は、ウォーカブル推進の実効性を高める鍵となっています。

こうした事例は、都市の魅力や機能性を高めると同時に、自治体のブランド価値の向上にも寄与しており、長期的なまちづくり戦略としての位置づけが強まっています。

地方自治体に限らず、非営利団体や公共団体もウォーカブルなまちづくりに積極的に関わっています。特に、地域に根ざしたNPO法人やまちづくり会社は、行政と民間の間に立ち、市民の声を拾い上げながら、空間づくりを担う重要なプレイヤーとなっています。

たとえば、商店街や旧市街地の空きスペースを一時的にイベントスペースとして活用する「タクティカル・アーバニズム」的な試みは、地域のにぎわいを可視化し、歩行者主体の都市空間を短期間で検証できる手法として注目されています。

また、外部資金を活用しながら、自主的に公共空間をマネジメントする「プレイスメイキング」の取り組みも広がりを見せています。これらは、行政だけではなく地域社会全体でウォーカブルな空間を維持・発展させていく仕組みづくりの一環といえるでしょう。

こうした動きを支えるには、柔軟性のある設備や空間設計が不可欠です。そこで有効なのが、イベント用仮設設備や移動式什器といった「レンタルサービス」の活用です。短期導入・低コスト・高可搬性といった利点は、ウォーカブル推進の実証段階において特に相性が良く、低リスクでの社会実験やプレイベントの実施に貢献しています。

ウォーカブルな都市設計は、単に「歩きやすい道」を整備するだけではありません。人の流れ=経済活動の動線として捉え、「歩きたくなる仕掛け」をまちに実装することは、都市開発やエリア再生において極めて重要な観点です。

たとえば、道路を単なる交通インフラではなく、イベントや交流の舞台として使う“生活空間”に再定義することで、日常の中に新しい価値が生まれます。これにより、人の滞在時間が延び、エリア内での消費行動やコミュニケーションが活性化されます。

また、ウォーカブルな都市は治安面・心理的安心感の向上にも寄与します。人通りのある場所には自然と防犯効果が生まれ、街灯や視認性の高い施設設計は、子どもや高齢者にとっても安全な環境を提供します。こうした「人が歩きたくなる」環境を整備することが、結果として持続可能で多世代が共存できるまちづくりにつながります。

自治体にとっては、こうした取り組みが都市のブランド力向上や定住促進にも直結するため、地方創生や人口減少対策の文脈でも高く評価されつつあります。

ウォーカブルな空間設計は、地域の商業・観光資源と連携させることで、その価値を一層高めることが可能です。具体的には、地元商店街や観光スポットを歩行者動線に組み込むことで、「周遊性」を高める施策が多くの自治体で採用されています。

たとえば、公共空間の一部にキッチンカーやマルシェ、アートイベントを開催できる仮設設備を導入すれば、平日と休日で異なる表情を持つ“動的なまち”を演出できます。このような取り組みは、「用事がなくても立ち寄りたくなる場所」の創出につながり、結果として地域全体の回遊率と滞在時間の向上を実現します。

さらに、観光施策とウォーカブル施策をセットで実施することで、観光客の動線を整え、消費拠点へと自然に誘導する仕組みづくりも可能です。特に、歴史的な街並みや自然景観を有するエリアでは、車両交通を制限した「歩行者天国」的な空間設計が、地域の魅力を最大限に引き出す手法として注目されています。

こうした空間づくりを実現するためには、機動的で柔軟な設備導入が鍵となります。長期的なインフラ整備に比べて、仮設的に実施できるレンタル設備の導入は、試行錯誤を繰り返しながら段階的に空間を改良していけるという点で非常に有効です。

たとえば、イベント用のテント・照明・ステージ・ベンチ・仮設トイレなどを短期レンタルすることで、「場所の価値」を可視化し、将来的な恒常設備の整備につなげる根拠データを収集することも可能です。

公共空間の利活用に必要な設備とは

ウォーカブルなまちづくりを進める際には、「歩きやすさ」を生み出すための物理的・機能的な環境整備が不可欠です。とくに、公共空間を多目的に活用し、歩行者の滞在価値を高めるためには、設備や什器の柔軟な導入が重要な要素となります。

たとえば、以下のような設備は、多くの自治体やまちづくり団体でニーズが高まっています。

 ● 屋外イベント向けのテント・ステージ・椅子・机
  空間演出のための照明・パラソル・植栽什器
  長時間滞在を促すベンチ・仮設トイレ・ゴミ箱
 ● 子どもや高齢者も安心して過ごせる間仕切り・安全柵
 ● インフォメーション提供のための掲示板やデジタルサイネージ

これらの設備は、恒常的に整備するにはコストや設置場所の課題が大きく、特に実証実験や社会実験といった「期間限定で試してみる」段階においては、レンタルの柔軟性が極めて効果的です。

ウォーカブルな空間づくりを目的に、多くの自治体では「社会実験」という手法が採用されています。これは、一定期間、実際に公共空間を歩行者中心に使ってみることで、まちの使い方や市民の反応を検証し、恒常化に向けた判断材料とするものです。

こうした実証プロジェクトにおいて、レンタルサービスは非常に有効です。理由は大きく3つあります:

 1.初期コストを抑えた短期導入が可能
  → 予算の限られた自治体やNPOでも導入しやすく、施策の試行に最適。

 2.現場に即したフレキシブルな対応が可能
  → 天候・季節・イベント内容に応じて、設備を自由に組み替えられる。

 3.仮設から恒常整備へのステップ設計がしやすい
  → 利用者の反応をもとに、次の整備フェーズへ進める判断材料になる。

特に「イベント連動型ウォーカブル施策」では、週末のみの通行止め実験や夜間照明の設置など、限定的かつ機動的な取り組みが多数あります。こうしたケースでは、保管・輸送・設置・撤収のすべてを一括で任せられるレンタルサービスが、大きな支援役となります。

また、近年ではSDGsへの取り組みとして「環境負荷の少ない社会実験」を重視する傾向が強まっており、再利用可能な什器や省エネ型照明などの選定においても、レンタルの選択肢はますます広がっています。

こうしたレンタル活用の実例として、佐賀県佐賀市では2023年、佐賀駅周辺のポケットパークと駅前交流広場を会場に、賑わい創造事業の実証実験が実施されました(主催:佐賀市・佐賀駅周辺賑わい創造コンソーシアム)。
移動型店舗の出店に加え、PRブースとして使えるトレーラーハウスやガーデンファニチャーを設置し、駅周辺に人の滞留を促す取り組みで、西尾レントオールは企画・物品協力というかたちで空間づくりを支援しました。

佐賀駅賑わい実証実験

また兵庫県加古川市では、市がめざす「居心地が良く、歩きたくなるまちなか」づくりに向けて、JR加古川駅周辺のにぎわい創出・回遊性向上を目的とした社会実験が行われ、西尾レントオールが公募型プロポーザルにより連携事業者として本業務を受託しました。
駅前広場を「安心して子どもを遊ばせられるくつろぎ空間」「リモートワークも可能なサードプレイス」という2つのコンセプトのゾーンに分け、大型パラソルやアウトドアファニチャー等を用いて滞留を促す空間を構成し、今後のまちづくりに向けた効果分析にも協力しています。

「ウォーカブル」とは、単に歩きやすい都市空間を意味するのではなく、人々が快適に歩きたくなるまちをつくることを指します。高齢化社会への対応、都市の回遊性の向上、地域経済の活性化など、さまざまな社会課題にアプローチできる視点として、今、公共セクターから注目を集めています。

地方自治体や非営利団体による取り組みも加速しており、都市の魅力や住民満足度を向上させるために、「ウォーカブルなまちづくり」は今後の都市戦略に不可欠なテーマとなるでしょう。また、公共空間の有効活用や社会実験の段階では、仮設設備やレンタルサービスの柔軟な活用が、リスクを抑えた施策の実行に貢献します。

まちの未来をつくる一歩として、ウォーカブルの推進とともに、機動的で持続可能な手法の導入をぜひご検討ください。